この記事で解決できるお悩み
- 定年まで今のままの働き方でいいのかな?
- 定年後の仕事や収入に不安があるんだけど・・・
- これからの生き方・働き方についてのヒントが欲しい!
- 「ライフシフト」の要約も知りたい
本記事では40代~50代のこんな悩みを解決するために、ベストセラー本「ライフシフト-100年時代の人生戦略」(以下「ライフシフト」)を読み解き、今のような変化の激しい時代に合わせた生き方や働き方のヒントを探ろうと思います!
今回「ライフシフト」を選んだ理由は、将来に起こる変化(長寿命化、資金の減少、雇用の変化)を予測した上で、変化を最大限に活かした人生を送るために大事なこととして、「自分自身が変身すること」、そして「変身するための方法」が示されているからです。
「定年後の仕事はなんとかなるさ...」と楽観的に考えていませんか?60代向けの求人は警備、清掃、配達、コンビニなどの肉体労働が多く、マンションの管理人などは倍率が高いそうです。これはあなたの望んでいる定年後の生活ですか?
このような現実を知らないまま、あるいは現実から目をそらして何も準備せずに定年まで過ごすと「ゆでガエル」のように茹でられてしまい、気づいたときには身動きがとれなくなるかもしれません。
このような致命的な状況にならないように、本記事で「ライフシフト」の概要を知って、何をすべきか考え、今すぐに計画を立て行動に移しましょう!
ライフシフトを読んで第2の人生の準備を!
ライフシフトとは?
人生100年時代すなわち寿命が長くなる時代において生きがいを持った人生を送るためには様々なことを変えていく必要があります。具体的には働き方、お金の考え方、時間の使い方、人間関係、教育機関、企業、政府などの変化のことを指し、この変化を総称してライフシフトといいます。
この考えは、ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授とアンドリュー・スコット教授が2016年に出版した本「ライフシフト-100年時代の人生戦略」の中で提唱されました。
ちなみにリンダ・グラットン教授は、日本政府の「人生100年時代構想会議」の有識者議員にも選ばれており、「ライフシフト」が日本政府の政策にも影響を与えています。
ライフシフトを読むべき人
定年後の再雇用や再就職で働いている60代を含めて50代以下の方は全員読んだほうがいいと思いますが、その中でも特に40代~50代の方にオススメします。
その理由は、40代~50代の方が10代~20代の頃に思い描いていた「教育→仕事→引退」という3ステージの生き方を送ることがすでに困難になっており、生き方や働き方に対する考えをを根本的に変えなければならないからです。
著者のアンドリュー・スコットはインタビューで以下のように答えています。
40代~50代の人ほど3ステージの人生設計に囚われてマルチステージ型人生へシフトする準備ができていない。40代~50代の人たちにこそ「LIFE SHIFT」を読んでほしい。
出典:マンガでわかる年収400万円からのライフシフト2
「ライフシフト」の要約とポイント解説
本書の要約
日本は長寿命化がもっとも進んでいる国です。2007年に日本で生まれた子どもの半分は107歳以上生きることが予想されています。
これに加え、企業年金の廃止、公的年金の支給開始年齢の引き上げによる老後資金の減少、AIなどの新しいテクノロジーの登場に伴った雇用環境の変化やスキルの陳腐化が起こることも考えられます。
これから大事になるのは古い働き方と生き方に疑問を投げかけ、柔軟性をもって、実験しながら生涯を通じて2つ、もしくは3つのキャリアを持つような「変身」を続ける覚悟を持つことです。
人生100年時代の適応戦略
多くの人が長生きするようになり、長い人生に必要な資金をまかなうためには長い年数働かなくてはなりません。特に40代-50代の場合、職業人生は少なくとも25年は続く可能性が高いでしょう。
長い職業人生の間には、ロボットやAIなど新しいテクノロジーの登場により仕事が消失したり、雇用環境も変化することも考えられます。
そのため柔軟性を持って、将来に向けてキャリアの方向転換と再投資を行う覚悟を持っておくことが必要です。手持ちのスキルでよしとせず、学び直しと新しいスキルの習得に力を注がなくてはなりません。
3ステージからマルチステージへ
これまでは学校を「卒業」して、学校で得た知識をベースに「仕事」をし、60歳で「引退」する3ステージの人生が普通でした。
しかし、これからは生涯で2〜3つのキャリアをもつような「マルチステージ」の人生を実践しながら、75歳あるいはそれ以上の年齢になるまで働くことが普通になりそうです。
特に私たち40代〜50代の人は3ステージとマルチステージの転換点にいます。企業年金が受給できない、あるいは公的年金の支給額が減額される可能性があり、老後資金の確保が今よりずっと難しくなりそうですので、今すぐに「マルチステージ」の生き方を検討したほうが良さそうです。
人生100年時代に備える資産構築
ライフシフトにおける資産
ライフシフトにおける資産は「有形資産」と「無形資産」の2つに分けられます。
有形資産は金銭的な資産を指します。それに対して無形資産はお金に換算できない資産のことで、「生産性資産」「活力資産」「変身資産」の3つに分けられます。
人生100年時代に備えるためには、この二種類の資産バランスを取ることが欠かせませんが、充実した良い人生を送るためには変身資産がより重要になります。
生産性資産とは?
スキル、知識など、仕事で生産性を高めて所得を増やすのに役立つ要素のこと。
生産性資産は人生の早い時期にまとめて身に付ける時代は終わり、生涯を通じて獲得し続けることが一般的になると考えられます。
どのような専門性を身につければよいか?
- 経済的な価値と希少性があること
- 模倣困難であること
- 機械によって代替されにくいこと
活力資産とは?
活力資産とは肉体的・精神的な健康と幸福や友人関係、パートナーやその他の家族との良好な関係のこと。
幸福感と充実感を得られ、やる気をかき立てられ、前向きな気持ちになれる資産です。
具体的には、健康的な生活を送り、家庭や職場では良い人間関係を保つように注意することが大事です。
変身資産とは?
変身資産とは人生の途中で変化と新しいステージへの移行を成功させる意志と能力のこと。
新しいステージへ移行には不確かなことがつきものですが、変身資産を持っていると対処しやすくなります。
変身資産の構築方法
変身資産を構築するためには以下の3つが重要です。
1) 「自分」をより深く知ること
ほかの人に意見を求め、それについて内省することが有効です。なぜなら自己認識と世界の見方を変更することができるからです。
また、未来に自分がどのような人間になる可能性があり、どのような行動を取る可能性があるか(「ありうる自己像」)を考えることも重要です。
自分について知識を持っている人は、新しいステージに移行しても成功する確率が高く、環境が変化しても自分らしさを保てることができます。
2) 多様性に富んだ人的ネットワークをもつこと
新しい職探しでは知識よりも多様な人的ネットワークが重要になります。
その理由は、自分がどのように変身できるかについて多くのロールモデルやイメージを得ることができることです。
もうひとつの理由は、自分の視点を変えることができることです。そうした人物を通じて新しく踏み出そうとしている世界の流儀を学んでいくことができます。
3) 新しい経験に対して開かれた姿勢をもっていること
変身のプロセスでは、これまでの環境や行動パターンから離れることから不安や迷いがどうしても生じてしまいます。しかし本当に変身するためには新しい経験にチャレンジしていく勇気が必要です。
具体的には以下のような姿勢が重要です。
- 過去の例にない大胆な解決策を受け入れる
- 古い常識ややり方に疑問を投げかけることをいとわない
- 画一的な生き方に異を唱え、人生の様々な要素を統合できる新しい生き方を実験する
- 他の人達の生き方と働き方に興味をもち、新しいことを試すときにつきものの曖昧さを嫌わない
新しいシナリオをつくる
定年にやってくる第二の人生を自分で決めていくためには、自分自身のニーズや希望、願望を軸にして自分が将来どのような人間になる可能性があり、どのような行動を取る可能性があるかという「ありうる自己像」について考えます。
そのためには受け身の人生を脱却し、自己効力感(=「自分ならできる」)と自己主体感(=「みずから取り組む」)を持たなくてはなりません。
書の中ではいくつかの人生のシナリオが描かれていますが、それらに共通するエッセンスを上げてみます。
- 計画して準備する。具体的には現時点でもっている有形資産と無形資産を点検し、どのような選択肢があるか、どのような試練に直面しているかをはっきりさせます。
- 有形資産と無形資産を整える
- 実験する。会社で働きながら、様々な実験とサイドプロジェクトを行い、自分自身と市場について理解を深める
3「. 実験する」は副業(複業)のことを指します。これがライフシフトのキモだと思います
人生100年時代の新たな働き方
本書では、新しいステージの例として「エクスプローラー」「インディペンデントプロデューサー」「ポートフォリオワーカー」の3つが紹介されています。
マルチステージの人生を生きるためには、これまで若者の特徴とされていた性質を生涯通じて保ち続けなくてはならないそうです。
例えば、
- 自分が心底楽しめる活動をし高揚感を味わう。旅行、やりたい事業に挑戦する、など
- 遊び心を発揮する
- 未知の活動に乗り出す
エクスプローラーとは?
「未知の世界と自分を発見する探検者」のことを指します。
一箇所に腰を落ち着けるのではなく、生涯を通じて探検や旅を続けます。自分の内面を探すというよりは外的な刺激を通じて感情レベルの経験をすることが目的です。
何歳でもエクスプローラーになれますが、18-30歳、40代半ば、70-80歳くらいが適した時期です。
インディペンデントプロデューサとは?
自分の職を生み出し、無形資産を蓄える新しいタイプの起業家を指します。
成功することよりも、一時的なビジネスの活動自体を目的にしており、事業を始めることが目的です。
このステージでは有形資産はきずくことができませんが、無形資産を充実させることができます。
ポートフォリオ・ワーカーとは?
複数の異なる種類の活動を同時におこなうステージのことを指します。
特定の年齢に限定されず、いつでも実践できますが、特にすでにスキルと人的ネットワークの土台を築いた人たちにとっては有効な選択肢になります。
ポートフォリオ・ワーカーのさまざまな活動の例
- 所得の獲得を主たる目的とする活動
- 地域コミュニティとの関わりを主たる目的とする活動
- 親戚の力になるための活動
- 趣味を究めるための活動
40代-50代はポートフォリオワーカーがオススメ?
私たち40代-50代はポートフォリオワーカーが最も適していると思います。
なぜなら、40-50代はすでに確立したスキルと人的ネットワークがあるはずだからです。それに加え定年退職まで10-15年を準備期間とすることができます。
本業と平行して副業を始め、様々な実験を通して「変身資産」を作っていくことが十分可能です。
ポートフォリオワーカーへの移行に成功する人は、早い段階で準備に取り掛かり、フルタイムの職に就いているうちに、小規模なプロジェクトを通じて実験を始める。興味を持てそうなプロジェクトを試しに実行し、自分がなりたいポートフォリオワーカーのロールモデルを見つけ、社内中心の人的ネットワークを社外の多様なネットワークに変えていく。この過程で変身資産をはぐくむことが重要だ。
出典:LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略
40代/50代が取るべき戦略
40-50代はポートフォリオ・ワーカーが最も適しているとして具体的に何をすればよいのでしょうか?
いま変化を予期して行動する
もっとも重要なことは「先手を打つ」ことです。
「定年後の仕事は、定年後少しゆっくりしてから決めよう…」と呑気に構えていませんか?
60代の求人は警備員、清掃員、コンビニ店員、引越し業、介護などの肉体労働系が多く、マンションの管理人などは倍率が高く狭き門なのだそうです。
これらの仕事はあなたがやりたいことですか?定年までパソコンに向かって事務作業をしてきたあなたは肉体労働の仕事ができますか?
「なんとかなるさ」と根拠なく楽観する人は危険です。「ゆでガエル」の寓話のように、ゆっくりと進む変化や危機に気づかず、逃げ出すタイミングを失いかねません。
ですから、いま進んでいる変化を予期して行動することが重要です。
行動経済学者のダニエル・カーネマンが指摘するように、私たちはおうおうにして誤った楽観主義に流される。私たちが適切な準備や行動をしないのは、それがもたらす結果をおそれるのではなく、未来について愚かなほど楽観的な考えをもっているからなのだ。
出典:LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略
「変身するために」計画を立てる
自分について知る
自分についての知識を持っている人は人生の新しいステージで成功する確率が高くなり、変化によりアイデンティティが脅かされているとあまり感じなくなります。
人的ネットワークを広げ選択肢を知る
自分とは大きく異なるロールモデルと接することで、自分がどのように変身できるかイメージしやすくなります。また新しく踏み出そうとしている世界の流儀を学ぶことができるようになります。
新しい経験に対して開かれた姿勢を取り「あり得る自己像」を意識する
ほかの人たちの生き方・働き方に興味を持ったり、色々なことに挑戦し、様々な選択肢を持っておくことが重要です。これを通して将来の自己像を意識していきます。
行動する
新しい時間の使い方を考える
“レクレーション=娯楽”から”リ・クリエーション=再創造”に時間を振り分けていきましょう。つまり自ら学習するための時間を増やすことが必要です。
たとえば休日にダラダラとテレビを観ている時間を、自分の目標達成に必要なスキルを本やUdemyやYouTubeなどのオンラインで学習する時間に変えていく意識が大事です。
第二の人生を本当に充実したものにしたいのであれば、目先の快楽を我慢する厳しい決断が”今”必要です。
新しいスキルを習得する
時間を作ったら学び直しとスキルの再習得に投資していく必要があります。
手持ちのスキルでよしとせず、新しいスキルの習得に力を注がなくてはなりません。
実験する
ポートフォリオワーカーの説明でも述べたように、40代-50代は本業と並行して副業(複業)から始め、その中で自分がなりたいロールモデルを見つけたり、新しい人的ネットワークを作りながら変身資産を築いていくことがベストな選択ではないかと思います。
まとめ
本記事では「ライフシフト」の概要を説明しながら、今すぐに変身する計画を立てて行動に移すことをお伝えしました。
少しでも40代~50代の皆さんの気付きになり、将来に向けて、いい意味での"焦り"を感じていただければ幸いです。
とはいえ、人生100年時代と考えれば40代~50代はまだ折り返し地点です。早くに"焦り"を感じて先手を打ち、その後の長い人生を自分らしいものにしていきましょう!